ワールドカップ前回大会での新星、日本のフルバックの松島幸太朗が、スタッド・マルセル・ミシュランの芝生に足を踏み入れた。だが、今日はまだ、「ジョーンヌ・エ・ブルー」(クレルモンのチームカラーのイエロー&ブルー)のアタックを活気づけるためではなく、オーヴェルニュ地方で最初の数日を過ごした印象について話すためだ。新しいチームメイトに早く会いたくてうずうずしている幸太朗は、クレルモンが自身の『ベストチョイス』であったこと、またスタッド・マルセル・ミシュランの雰囲気やサポーターの情熱が彼の選択に大きな影響を与えたことを話した。

 

 「日出ずる国」から「火山の国(オーベルニュ地方)」への時差ボケからも回復したようで、リラックスしている。今朝(7/12)、スタッド・マルセル・ミシュランの芝生の上で、松島幸太朗が記者団に紹介された。ワールドカップ前回大会でラグビー界を夢中にさせた松島、次はこの芝生の上での活躍に大きな期待が寄せられている。松島は、ASMクレルモン・オーヴェルニュを選んだ理由について、「(ワラターズ)でスーパーラグビーを経験し、日本代表で世界のレベルを経験した後、次のステップとして、トップ14、またヨーロッパでプレーすることは素晴らしいチャレンジだと思った。クレルモンは常に第一候補だった。チームと話し合いを始めた頃、クレルモンのサポーターの情熱やスタッド・マルセル・ミシュランの雰囲気を見てとても印象に残った。またチームのプレーにも感銘を受けた。サントリーサンゴリアスで一緒にプレーしたマット・ギタウは、このチームのカルチャーやプレーについて、ポジティブなことしか言わなかった。」

クレルモンのジャージを着ての試合を思い描きながら、スタジアムの雰囲気を堪能する。「素晴らしいスタジアムだ。日本では観客席との距離が少し離れているけど、ここは選手と観客の距離が近くて、雰囲気も盛り上がるに違いない。この素晴らしいスタジアムでの試合が待ちきれない!」と熱く語った。

 

「サポーターの情熱と、スタジアムの雰囲気を見て、クレルモンに来たくなった!」

 

明日の朝、松島は新しいチームメイトに出会う、そして彼らと一緒に練習に参加する。長い期間ラグビーができなかった。「ラグビーができなかった自粛期間中は、ランニングや坂道での加速トレーニングをしていた。6月からウェイトトレーニングができるようになった。早くチームと練習がしたい。ティム・ナナイ=ウィリアムズは昨年のワールドカップで対戦して知っている。ピーター・ベサムはワラターズで一緒にプレーした。他にもテレビで見て知っている選手がいる。」 フィットネスはまだトレーニングが必要と謙虚に言っているが、メンタルは新しいチャレンジに向けて準備が整っているようだ。「過去数シーズンの経験とワールドカップのおかげで、ヨーロッパでプレーして、強豪チームと対戦するための自信がついた。クレルモンでプレーできることにとてもワクワクしている。トップ14は、日本のゲームよりもフィジカルでキックが多く、それに対応するためにステップのスキルをさらに磨かなければならない。このリーグの屈強な選手たちの強烈なタックルをかわすために。」と幸太朗は微笑む。また、ユーティリティープレイヤーでもある彼は、「フルバックが好きだけど、自分はウィングでもセンターでもプレーできるから、コーチの判断やチームのニーズに適応していく。一番大切なのは、モチベーションと思いっきり楽しもうという気持ち。」とも言う。

この日の30分ほどの会見には、日本人記者の姿も初めて見られた。日本で人気を博している松島の第一歩を記事にするために、わざわざやって来たのだ。松島は街の魅力についても触れた。「クレルモンは美しい街。山が近くて、静かな環境。昨日はジェルゴヴィ高原に登って、街のパノラマ風景を見て来た。」紀元前、フランスがまだガリアと呼ばれていた頃、この地を征服しに来たローマ軍に対して、ガリア軍を率いたウェルキンゲトリクスが勝利を収めた場所である。新しく始まるシーズンに向けて、チームでも、またリーグでも、注目が集まる松島幸太朗にガリアの英雄が息吹を吹き込む。